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ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子(おおたけ のりこ)
編集者を経て2005年4月に女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演テレビ・ラジオ出演などのほか、女性FPによる個人マネー相談や人生の“やりたい”を“できる”に変えるための「お金の教養スクール」を運営中。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は70冊以上に及ぶ。https://www.fpwoman.co.jp

【第6回】ふるさと納税と不動産投資

各地の特産品がもらえるだけでなく、節税にもつながるということで、近年、急激に注目が集まっているのが「ふるさと納税」です。すでに毎年、ふるさと納税を活用しているという人も少なくないのではないでしょうか。今回は、そんなふるさと納税と不動産投資の関係に着目し、ポイントを解説します。

■「ふるさと納税」の基本的な仕組み

「ふるさと納税」とは、日本全国の任意の自治体に寄付をすると、該当額が住民税と所得税から控除され、節税することができるという制度です。制度の名前に「納税」とついてはいますが、その仕組みからもわかるように実際に行うのは寄付であり、寄付金控除の対象となることで結果的に税金が減るという仕組みになっています。

とはいってもふるさと納税が人気の理由は、税金が減ることだけではありません。寄付をした自治体から、「お礼の品」として地元の特産品をはじめとする返礼品を受け取ることができることも、その人気を支えています。

ふるさと納税をした場合には、そこから2,000円を差し引いた全額がそのまま税金から控除できます。ただし、控除できる金額には上限があり、収入や扶養家族の人数、その他の控除の状況等によって上限額は変わります。つまり、個々人の状況によって差があるということです。この控除できる金額の上限は、ふるさと納税のポータルサイトなどで簡単にシミュレーションすることができます。

■不動産投資で控除の上限額が変わる!?

では、会社員の人が不動産投資によって家賃収入を得た場合、ふるさと納税で控除できる金額の上限にどのように影響するのでしょうか。

結論から言えば、不動産投資によって利益(不動産所得)が出た場合には、ふるさと納税の控除の上限額が上がる可能性があります。なぜなら、控除できる金額の上限はその年の納税額と密接に関係しています。副業によって得られた雑所得や不動産所得など給与所得以外の所得があればあるほど納税額自体が多くなるので、控除できる金額の上限も上がるのが通常です。

一方、不動産所得が赤字の場合には、給与所得から不動産所得の赤字分が相殺されるため、結果として納税額自体が少なくなります。したがって、ふるさと納税で控除できる上限額もその分下がる可能性が高いと言えます。

■不動産所得を含めてシミュレーションしよう

こういったことから、不動産投資をする場合には、利益が出るにしろ、やむを得ず赤字になってしまうにしろ、ふるさと納税の控除の上限額に影響が出ることになります。

そのため、給与所得だけでふるさと納税の控除の上限額をシミュレーションしていると、実際には上限額を超えて寄付をすることになったり、反対に、実際にはもっと多く寄付をしても控除の対象となるのに余らせてしまったりするかもしれません。

もちろん、ふるさと納税をどのような目的やモチベーションで行うかは人それぞれですから、たとえ控除にならなくても上限額を超えて寄付をするのも自由ですし、上限いっぱい寄付をしなかったからといって問題があるわけでもありません。しかし、認識がなかったばっかりに「こんなはずじゃなかった…!」となるのは避けたいところ。ふるさと納税の控除の上限額を計算する際には、不動産投資の年間の収支を織り込むことを忘れないようにしましょう。

ちなみに、不動産所得を計算する際に避けては通れないのが「減価償却」という考え方です。これは、不動産を購入した際の建物や設備の取得費用を一定の年数に分け、毎年、少しずつ費用化していくという会計上の考え方です。不動産投資においては、この減価償却によって、実際のお金の流れはプラスであっても、不動産所得は赤字になるということが珍しくありません。シミュレーションの際には、こうした減価償却もしっかり考慮して不動産所得を計算することが必要になります。

■「ワンストップ特例制度」が使えないことにも注意

もうひとつ注意したいのが、ふるさと納税をした自治体の数に関わらず、必ず確定申告でも寄付金控除の申告を行う必要があるということ。

ふるさと納税には、1月1日〜12月31日までの1年間に寄付した自治体が5つ以下である場合には、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して自治体に提出するだけで寄付金控除を受けることができる「ワンストップ特例制度」という制度があります。とても便利な制度なのですが、実はこの制度、確定申告をする人は使うことができません。仮に自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出していたとしても、確定申告でも改めて寄付金控除の申告を行わないと控除が適用にならないのです。
このように、一見あまり関係ないようにも見えるふるさと納税と不動産投資ですが、実際には密接な関わりがあります。不動産投資をするのであれば、控除の仕組みや計算方法についても正しく理解したうえで、ふるさと納税を活用していきましょう。

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吉崎 誠二

不動産エコノミスト
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