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ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子(おおたけ のりこ)
編集者を経て2005年4月に女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演テレビ・ラジオ出演などのほか、女性FPによる個人マネー相談や人生の“やりたい”を“できる”に変えるための「お金の教養スクール」を運営中。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は70冊以上に及ぶ。https://www.fpwoman.co.jp

【第1回】シングル女性の投資用マンション購入を考える

 はじめまして。エフピーウーマン代表の大竹のり子です。
2005年4月に女性のためのお金のクリニックであるエフピーウーマンを立ち上げてからこれまで、女性を中心に数え切れないほどのマネープランや資産運用の悩みの相談に乗ってきました。この連載では、そうした「リアルなお金のお悩み」を交えながら、不動産投資のあれこれについて考えていきたいと思います。

■もしかしてこのままひとりかも、と思ったら

 お金の悩みは人それぞれですが、中でも30代後半〜40代半ばのシングル女性の方に多いのが、「将来のことを考えてマンションを買っておいたほうがいいでしょうか」というものです。
 「女性がマンションを買ったら結婚できなくなる」なんていう都市伝説が囁かれていたりした時代もあったようですが、それも今は昔の話。それもそのはず、日本は世界トップの長寿大国です。厚生労働省のデータによれば、2020年の日本人の平均寿命は、男性81.56歳、女性は87.71歳。仮に65歳でリタイア生活に入っても平均的に20年以上が残されています。人生100年時代という言葉通りに生きれば35年です。
 老後のことを考えるのは、ライフプランがもうすこし固まってから…。今までそう思って過ごしてきたけれど、「もしかしてこのままひとりかもしれない。だとしたらそろそろ老後のお金の問題についてしっかり考えないと」。シングル女性がそんなふうに決意する節目のひとつが、この30代後半〜40代半ばという年齢なのです。

■マンションを買うなら自分用?投資用?

 では具体的に何をすべきなのか。ここで挙がってくるのが、「マンションを購入する」という選択肢です。
 ただし、その方向性は大きく2つあります。1つは、自分が住むためのマンションを購入するということ。そしてもうひとつが、投資用のマンションを購入するということです。
 自分が住むためのマンションを購入することのメリットは、なんと言っても住宅ローンの返済が終われば住宅コストを一気に下げられるということでしょう。リタイア後に毎月7万円の家賃がかかるとすると、単純計算でも20年で1,680万円、30年なら2,520万円。以前、「老後2,000万円問題」が注目されましたが、日常の生活費はおろか、家賃だけで2,000万円を超えてしまいます。家賃を支払う必要がないことが老後の資金計画にもたらすインパクトはかなり大きいと言えます。
 一方、シングル女性にとって投資用マンションを購入することの最大のメリットは、その後のライフプランの変化にしなやかに対応できるということ。いまはシングルでも、どこかで思わぬ出会いがあってとんとん拍子に結婚の話が進むかもしれない。一念発起してずっと夢だった地方暮らしや海外留学を決断するかもしれない。歳を重ねて自力で生活するのが大変になったら、しっかりケアしてもらえる介護施設で暮らしたい。投資用マンションを購入することは、これから先のこうしたライフプランや心身の変化に対応していくための心強いパートナーになってくれるのです。

■結婚したら「簿外資産」になる!?

 例えば、「このままシングルかも」と思って自分が住むためのマンションを購入した場合、思わぬ出会いがあって結婚、となると、マンションをどうするか、を考える必要が出てきます。もちろん、最初からそれも見越して2人でも住めるようなマンションを買うという方法もありますが、それでも、相手の方も持ち家があったり、通勤が不便だったりと、その時の状況にぴったり合うかどうかは未知数です。
 でも、投資用マンションであれば、自分の環境やライフプランの変化に関係なく、結婚しても、地方に引っ越しても、そのまま持ち続けることができます。しかも、毎月、ローン返済が進んでいる分だけ純資産が増えていく。普段の家計簿とは別の、いわば、「簿外資産」が、それも自分名義の資産が毎月、着々と増えていくのです。
 そして最終的にローンを完済すれば、それは「売却すればまとまった現金が手に入る」資産になります。お気に入りの土地で終の棲家を買うための資金にしてもいいですし、高級老人ホームに入居するための一時金に充ててもいいでしょう。

■「簿外資産」になる物件、ならない物件

 ただし、投資用マンションをライフプランの変化にしなやかに対応できる「簿外資産」に仕立てるには、条件があります。それは、安定して入居者がつき、長い年月のうちに家賃が少しずつ下がったとしてもキャッシュフローが安定している物件を選ぶ必要がある、ということです。
 投資用マンションを買うという選択は、超高齢社会を生きるシングル女性にとって賢い選択です。しかし、空室では家賃収入を得ることができないですし、不動産を所有していると固定資産税や火災保険料などコストがかかります。ですから、物件選びを間違えてしまうと意味がないのです。投資用マンションを買う際には、しっかりと知識を身につけ、長期のシミュレーションをしたうえで決断することが重要です。

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