VERITAS INVESTMENT
マンション経営・不動産投資をゆっくり知ってじっくり考える
ヴェリタス・インベストメントの[マンション経営ラウンジ]
0120-177-732お電話受付10:00~19:00(平日) 各種お問い合わせ

一歩先行く不動産投資 プロフェッショナルズアイ

yoshizaki

不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。 http://yoshizakiseiji.com

【第3回】コロナショックで見えた、ワンルームマンション投資の安定感

2020年6月、回復基調に入る不動産市況

 新型コロナウィルスの影響により、3月下旬から経済活動の自粛、4月に緊急事態宣言が出されると、実質的に営業活動をストップしている不動産・建築建設関連企業が大半となりましたが、6月に入ると、概ねどこの会社も営業を再開し、不動産取引も回復基調に入ってきました。

 上図は、2019年1月以降の首都圏における中古マンションの成約件数の推移です。
住宅関連の市況を見る時、メディア等では新築マンションの価格や成約件数のデータを取り上げていることが多いようですが、新築マンションの場合は販売される物件のエリアや価格レンジに偏りがありますので、広く市況を見るにはふさわしくありません。
 そのため、プロの分析業の間では、まんべんなく取引が行われる(可能性のある)中古マンションの状況を見るのが一般的です。
 これをみると、実質的に活動が止まっていた2020年4月は前年同月比-52.6%で半分以下となっています。その落ち込みは5月でも-38.5%となっていますが、6月に入ると昨年までは戻っていませんが、-11%まで回復しました。
 7月の数字が出るのはまだ先ですが、前年並みに戻ってきているものと思われます。

2020年4月、不動産投資家や企業はどうみているか

 少し前ですが、4月に発表された日本不動産研究所が半期に一度行っている「不動産投資家調査」の2020年4月時点の結果をみます。

 これをみると、新型コロナウィルスが不動産投資家のマインドにどのように影響を与えているのか、それはプロパティごとに異なる結果となっていることが分かります。

プロパティ別の期待利回り推移
〈宿泊特化型ホテルはすべてのエリアで上昇〉

 影響が最も高かったのはホテルで、期待利回り(キャップレート)は、東京や大阪だけではなく、すべてのエリアで0.1~0.2ポイント上昇しました。
 以下、宿泊特化型ホテルの期待利回り推移です。

■宿泊特化型ホテルの期待利回り

(一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」より。以下同様)

 中でも、インバウンドや観光色がより色濃い京都、大阪、那覇では0.2ポイントの上昇となっています。
 宿泊特化型ホテル用地は、立地や土地用途の視点でみると分かりやすいと思いますが、分譲マンションや大きめの賃貸住宅と入札で競う事が多くなります。近年、宿泊特化型ホテルは日本各地の大都市に加えて観光地で多く建てられました。ホテルを建てようとするデベロッパーが強気の用地仕入れを行っていましたので、それにつられて、該当エリアでは地価上昇がみられました。

〈オフィスビルは様子見状況〉

■Aクラスビル(オフィスビル)の期待利回り

 賃料・空室率ともに好調が続いているオフィスですが、2020年4月現在、さらに期待利回りが下落しているエリアもあります。

〈安定感のあるレジデンス〉

■賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)の期待利回り

 逆に、安定感を示したのがワンルームマンションです。
 横浜、千葉、大阪は前回比で0.1ポイント低下していますが、それ以外は横ばいとなっています。リーマンショック時に目を向けると、その後東京(城南)の期待利回りは一気に上昇しましたが、2010年10月調査からはまた下落傾向に戻っています。
 また、この間、ホテルやオフィスと比較すると、賃貸住宅が早期に回復しているのが分かります。オフィスやホテルよりも、人々が生活していく上で欠かすことのできない「住宅系」不動産、とくにワンルームマンションは不況時でも比較的安定しており、たとえ悪化しても長くは続かない状況が見えます。

投資家はコロナショックをどう見ているか

 今回の調査結果では特別項目として、新型コロナウィルスの感染拡大により影響を問うアンケートの結果が掲載されています。

■今後1年間の市場動向を念頭に、新型コロナウィルスの感染拡大が各アセットに及ぼす影響について(有効回答129社)

 上図からわかるように、不動産投資家(企業)は、「新型コロナウィルスの感染拡大によって今後1年間の市場動向においてネガティブな影響があまりない(全くないも含めて)」と考えている割合が、物流施設で88.2%と最も高く、次いで住宅(ワンルーム等)では83.4%と高い割合でした。ここでも住宅(とくにワンルームマンション)は安定的であると評価されているようです。

最新のコラム

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
吉崎 誠二(よしざき せいじ)

「将来世帯推計」で見る、今後の賃貸住宅需要の変化 new 「将来世帯推計」で見る、今後の賃貸住宅需要の変化

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
吉崎 誠二(よしざき せいじ)